インドエメラルドパファの繁殖

執筆 Aug.2008 「修訂版」Jan.2010

■ 出会い
美しいエメラルドグリーンのボディに赤く輝く大粒ルビーのような瞳のインドエメラルドパファ。とくに繁殖期に入ったオスの美しさは、まさしく宝石のような輝き。雑誌で見かけたそんな鮮やかな淡水フグたちを是非間近で見てみたかった。
エメラルドグリーンのボディ
■ 個体選び
 国内流通はミドリフグやアベニーパファーと比べるとまだ少ないですが、気のせいか偶然か2008年9月にアクアライフで繁殖記事が紹介されて以来若干増えたような。。。自意識過剰かな(笑) 
 繁殖を目指す場合当然ペアを確保しなければならないのですがこの属は雌雄の識別が難しいようです。海外サイトを調べてみても明確な識別方法は見当りませんでした。体色は個体差やストレス・環境により非常に変わり易いのであまり良い判断材料にはなりません。 一概には言えませんが、表にまとめてみたので参考にしてください。餌の違いによる拒食を防ぐためにショップでどのような餌を与えていたか必ず聞いておきましょう。
■ 飼育
 元気な個体を入手したら一週間ほどトリートメントタンクで様子をみてみましょう。 この時は、私は薬を使いません。0.5%の塩水を使ったこともありますが特に異常がなければ通常飼育と同じ淡水で十分だと思っています。
 2008年以前発行のフグ本などではインドエメラルドパファは気が荒く単独飼育が基本と紹介されていましたが、繁殖を目的としたペア取りのために敢えて4匹での複数飼育を行いました。争いを減らすために水草を使い、隠れやすい環境を作りました。 これも気のせいかあるいは偶然かアクアライフでこの方法が紹介されて以来 水草水槽で複数飼育と書かれているフグ本を見かけるようになりました。 やっぱり超自意識過剰だね(爆) 実際、それ以前の書籍には、水草はフグに引き抜かれてしまうので水草はフグ飼育に向かない。と書かれていました。 因みに、単独飼育の場合はベアタンク(底床なし)で覗き込むあなたから身を隠すことのできる最低限の水草付流木でokだと思います。(笑)
 私が購入したショップでは餌として赤虫を与えていたようでしたが、さらに順調な発育を期待して人工飼料に切り替えました。スムースな切り替えができたのですが、今に思えばもうしばらくミナミヌマエビのような生餌を与えた方が良かったかなと思っています。勿論、人工飼料でも十分発育はするのですが、以前に生餌で育てた個体と比べるとどうも少しサイズが小さいような気がします。
繁殖に成功した♂ 繁殖に成功したメス 隔離中に産卵
■ タンクメイト
なかなか難しいところなのですが食い散らかしの多いインドエメラルド、他の魚と上手く混泳できるととても助かります。候補としては、食い散らかされた人工餌を好んで(?)食すコリドラスやヤマトヌマエビ、コケ対策の貝、迷惑な小生物を捕食する魚と混泳できれば便利です。私が混泳させている魚は文末をご覧ください。
■ 繁殖
順調な複数飼育の中、それぞれが5cm以上に成長したころから変化が起きました。初めに体の大きいオスの隠れ家付近でメスを見かけるようになりました。オスは積極的に誘うようにメスの周りを泳ぎ、やがてペアが決定しました。また、この時から残りの2匹はオスの攻撃対象となってしまいました。ペアはお互いの体をすり合わせるように左右に激しく震わせ求愛行動を行いながら産卵場所を模索し始めます。翌日、家族が留守の間に2匹は比較的大きい葉に約200個の卵を産みつけました。これ以降約6ヶ月間に1♂+2♀が産卵した回数は延べ27回を数えました。
卵を守る♂ アマゾンソード上の卵 孵化直前の卵
■ 孵化
オスは孵化までの約7日間(26℃)餌を取ることはありません。常に卵の真上で細かく胸鰭を動かし水を送りつづけながら卵を守ります。近づいて来るものがいればすべてに攻撃を仕掛けてきます。そして全部の卵が孵化するまでその場を離れず守り続けるのです。そのままでも相当数の孵化が見込まれますが、孵化率を上げるには、やはりプラケースのような容器を準備し、産卵された葉ごと切り移した方が良いでしょう。温度を合わせた新しい水にグリーンfリキッドを通常の¼程度入れ腐敗を防ぎ、スポンジフィルターで弱い流れを作ってやるとよです。2-3日ごとに全換水し、最後孵化直前に薬を抜いた状態に戻してやります。またケースごと本水槽内に浮かべると温度管理や観察がしやすいでしょう。
本水槽に浮かべた水槽
■ 稚魚飼育
孵化直後は1.5mmぐらいのサイズでケース底にいることが多いです。ヨークサックは半日ほどで見えなくなります。孵化後3日目ぐらいからブラインシュリンプを食べるようになるのでそれまではインフゾリアやpsbなどを与えました。あまり早い時期にブラインシュリンプを与えると、かえってシュリンプに攻撃されてしまうのか底にいる稚魚の死亡率が高くなります。 あとは、赤虫が食べられるまでの約2-3ヶ月間ブラインシュリンプを中心に与えてやればよいでしょう。余談ですが、psbについては賛否あるようです。ですが、うちの稚魚飼育では欠かせないものになっています。特にインドエメラルドの場合、psb未使用ですと孵化直後の生存率が少し落ちるような気がします。 (正確なデータは取っていません。)
孵化20日目 孵化50日目 孵化83日目
■ 拒食
フグ全般に言えることですが、拒食に陥り易い傾向にあります。購入直後など環境変化や混泳によるストレスにより直前まで食欲を示していた個体が突如餌を受け付けなくなってしまいます。最悪の場合そのままダメになってしまうこともありました。何度かの悲しい経験のあと、我家では拒食時にはスネール(モノアラガイ)を与えるようにしました。非常に嗜好性が高く、生餌であるため水槽の水を痛めることもない。実際に拒食になったインドエメラルドパファとバイレイ(幼魚)も10日間ほどで回復できました。もちろん、拒食治療だけでなく同時に拒食になった原因を排除しなければならないのは言うまでもありません。拒食は繁殖による小食(アベニーパファー繁殖レポート参照)とは異なります。スネールの種類はモノアラガイです。ラムズホーンや他の種類の貝への嗜好性はモノアラガイに比べると格段に落ちます。
 エメラルドの飼育で失敗した一つは白点治療です。活餌を与えないエメラルドではそれほど掛かり易い病気という訳ではありません。ただ一度かかってしまうと厄介です。 なぜならフグは薬に弱く、インドエメラルドパファはさらに弱いような気がするからです。うちのフグ達は、酷い白点でない限りは水温と塩で治療していますが、やはり或る程度は薬に頼よることになります。しかし、エメラルドやレッドテールアカメフグなどはニューグリーンfやグリーンfリキッドを薄めて使ってもどうも上手くいきませんでした。どうも私のやり方が良くないようです。通常量では多くて弱ってしまいます。 最近では、薬を使う場合、アグテンを適量の1/4程度で使っています。この方がいまのところ失敗がありません。 但し、アグテンの方はメチレンブルーの10~20倍の魚毒性があると聞いたことがあります。(高温で効力がさらに増強するそうです。) 使用の際は十分気をつけましょう。写真は、バイレイの白点治療。
白点治療 モノアラガイ
■ 飼育環境
- 水槽:60x30x36cm
- フィルタ:外部式 エーハイムフィルター2217-new50hz
- 照明:メタルハライドランプ150w 8h照明
- 水草:ハイグロフィラ・サリジフォリア、アマゾンソード、サウルルス他
- 底砂:マスターソイル hg パウダー
- co2添加 照明時
- エアレーション 消灯時
■ 混泳(匹)
- インドエメラルドパファ (4)
- コリドラスパンダ (4)
- ピグミーグラミー (10)
- グリーンオトシン (1)
- ヤマトヌマエビ (4)
- カバクチカノコ (1)
■ 餌
- テトラ社 アロワナスティク・ミニ
- 稀に キョーリン社 冷凍クリーン赤虫
■ 雌雄判別
   ♂  ♀
 体形  正面からみると輪郭は四角く、頭部は大きい。 眼の位置が輪郭に近い。 この傾向は比較的若いころからみられる。  正面からみると輪郭は丸みがあるり、雄に較べ頭部は小さく角がみられる。口部は一見してクチバシがあるかのように見える。 繁殖期になると空腹時でも二段腹のようにみえる。
 体色  透明感のあるイエログリーンからオリーヴグリーン。比較的明暗がハッキリしている斑が頭部、背中にみられる。尾鰭の縁は雄雌とも赤くなる。  オスに比べ濃色傾向にあるが、同じような色も多くみられる。頭部の斑は雄に比べて不明瞭。雄雌ともに胸部付近には、黒い丸斑と褐色の網目模様がある。
■ 産卵シーン
Quicktimeをインストールしてください。(>_<)
※このレポートは月刊アクアライフ2008年12月号に掲載されました。 また、他の方々のフグ飼育が同誌2008年10月号に多く紹介されています。ご参考になると思います。
アクアライフ 2008